柴山文科大臣のイヤーマフ姿に心底,腹がたつ理由

柴山文部科学大臣がスピーキングテストのイヤーマフをつけてGTECの宣伝をすること。文部科学省が民間試験団体の言いなり情報を検証もせず公式HPに載せ,GTECと英検の広報ページにリンクを張ること。それらに,どうして私がこれほど腹が立つかを率直に書いておきたい。

ほぼ1週間しかなかった国会請願の署名募集期間の終了間際 6/14(金)に,私は所属大学の学長に呼び出され,署名の宛先住所を大学の研究室にしたことについて,口頭で注意を受けた。「公私混同」とみなされる恐れがあるとのことだった。

学長室には,学長に加え,入試担当の副学長,文科省派遣の事務局長,入試課長などが勢ぞろいしていた。その時,私は出席者に次のように事情説明をした。

(以下,羽藤の説明)私は,twitterでの発信,マスコミへの情報提供等を含め,共通テストへの民間試験導入に反対するすべての活動を教育・研究活動の延長と考えている。今回の国会請願についても,個人活動あるいは政治活動とは考えていない。しかし,それは私の個人的な認識であり,一般的には少なくともグレーゾーンにあたるであろうことは当初から意識していた。しかし,当該国会の請願受付締切 6/19(水)が迫っており,準備期間が数日(実質4日間)しかないなかで,研究室を署名の受取住所にしなければ,この活動は成立しなかった。

人が川に溺れて死にかけているときは超法規。日本の教育が溺れて死にかけていると判断して川に飛び込んだ。その時から覚悟はしているので,大学として処分が必要と判断されるなら,処分してほしい。私は社畜タイプの古い人間で帰属意識が強い。所属大学に迷惑をかけるくらいなら辞めた方がいい。今はまだ迷惑をかけていると私自身は感じていないが,大学がそう判断するなら辞めても構わない。

どうせ定年退職まで,あと3年足らず。惜しいものはない。30年以上,英語教育の研究と実践に情熱を注いできて,最後に日本の英語教育がこんな状態になったことを見ながらキャリアを終えるなら,私の30年は無駄だったのと同じだ。処分も受ける,辞めてもいい。だから,署名を6/17(月)まで受け取らせてほしい。

今回の文科省のやり方では,公正・公平な入学者選抜ができない。その証拠の多くは,これまでスピーキングテストを開発・運営してきたこの大学の中にある。英語教育についても,財界や文科省が求める英語教育改革は地に足がついていない。9人の専任英語教員の協力でぎりぎりまで頑張ってどこまでの成果が出せるか(どこまでの成果しか出せないか),そのデータがこの大学の中にある。説明するので,文科大臣でも財務省でも経産省でも呼んできてほしい。(羽藤の説明終わり)

学長は私の開き直りに困られたようだったが,具体的な処分の話にはならず,学長として言わなければならないことは言い渡しておくという感じで色々な警告をされた。私は抗弁もしたが,結局は,思慮が足りなかったことを詫び,以後気をつけると約束して学長室を出た。

その後,学長の命により,請願署名のウェブサイトから私の肩書き以外の所属大学に関わる表記(住所等)をすべて削除した。実質的に困ることはなかったが,私にとっては屈辱的な作業で,涙が出た。それでも,請願署名をギリギリになって中断しなくてよかったことについて,学長はじめ,その席にいらした大学幹部に感謝している。

届いた署名につけられたコメントからも,私と同じような思いをもたれ,同じような経験をされた教育関係者が少なくないことがわかった。

「私自身は学内で難しい立場に追い込まれたため署名も控えねばなりませんが,親族に書いてもらいましので,少数ですがお送りします。」「大学内で闘いましたが,無念です。まとめましたので送ります。」「私は対象となる民間試験団体に勤めており,署名用紙に名前を出せません。でも,この改革は絶対してはいけないと思うので家族の分を送ります。」

こうやって,末端の教育関係者は自分の考えを表に出すことに有形無形の圧力を受けながら,この国の教育のことを真剣に考え,力を尽くしている。個人の損得勘定は度外視だ。

翻って,文部科学大臣はどうですか? 新入試制度について国民からあがる疑念・懸念の声は完全に無視。それどころか,意図的な論点ずらしのツイートで,反対派を「守旧派」呼ばわり。イヤーマフをつけて民間試験の広告塔を務める姿は誰に向けてのものですか?

文部科学省は,もう何年も前から,官と民の癒着を隠すことさえしない。その延長で,今回の英語入試制度が作られた。

8,000を超える請願署名参加者を含む国民が求めているのは,柴山文科大臣の真摯で具体的な説明です。

末端で真面目にやっている国民を馬鹿にするな!

https://togetter.com/li/1369445

柴山文科大臣のイヤーマフ姿に心底,腹がたつ理由」への1件のフィードバック

  1. 試験改革ビフォー・アフターの子ども持つ保護者です。
    当事者を置き去りにした改革にため息が出ます。迷走する大学受験をさけるため推薦やAOに殺到するさまは、本来の推薦入試制度やAO入試制度をゆがめるのではないかと危惧し、高額な試験代は実質「英語税」のようです。この国で複数子どもを持つことは罰なのかと、ため息が出ます。

    我が子のまわりで起きている一例ですが、
    ビフォー高3は国大附校生ですが、高校から「現役で行けば問題ありません」と新制度の説明はありません(保護者会も2学期以降の開催予定なし)。現役・浪人は論点すり替えです。税金を使う受験制度変更を、情報を知りうる立場の教員が説明しない(できない)とは。

    アフター高1は私立高校で「高2以下は、いろんな外部試験を受け自分に合うものを選択してください」と言われました。自分に合う”試験探し”で”10万円弱”をかけてください、と学校で教育者が説明する異常っぷり、真剣にメモをとる保護者、コメディーみたいです。

    ビフォー生は現役で進学し「バスに乗り遅れなければラッキーセーフ」でいいのでしょうか?
    制度変更後の子たちと共に社会を構成していきますのに。高校教員が胸を張り説明できない制度は、教育現場での分断や不信感につながっているように思います。

    文科省に問い合わせれば、大学に聞いて。大学に聞けば、発表までお待ちください。
    納税者・保護者として不満、不安の行き先がありません。どっちに転んでも、お金をとられることだけは不変の既定路線なので、笑っちゃいます。

    名もない保護者や生徒の声を代弁してくださる先生の行動・ブログに共感しております。
    ありがとうございます。(返信は不要です)

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